九州王権と大和王権

中小路駿逸遺稿集
古代から中世の文学史・芸能史を研究する過程で、日本、中国の史書、唐詩から「多元的古代史像」に逢着。「大和王権」のみを中心とする「一元通念」の古代学は、根拠がなく学理上無効であることを論証した。古田武彦とともに新古代学という新たな境地を切り開いた学者・中小路駿逸の智の足跡を辿る。
著者略歴
中小路 駿逸
ナカコウジ・シュンイツ
1930年,兵庫県神戸市に生まれる
1953年,京都大学文学部文学科卒業(国文学専攻)
    以来,兵庫県明石市で高校教諭,明石高専教諭
1969年,愛媛大学教養学部教授
1984年,大阪大学医療技術短期大学部教授
1987年,追手門学院大学文学部教授,国文学・国語学担当
2000年,追手門学院大学名誉教授
2006年,逝去
 日本の古代から中世の文学史・芸能史などを幅広く探究する過程で,日本,中国の史書,唐詩などの史料から「多元的古代史像」に逢着。「大和王権」のみを中心とする「一元通念」の古代学は,根拠がなく学理上無効であると論証した。

主な著作
『日本文学の構図』(桜風社,1983年),『シンポジウム・邪馬壱国から九州王朝へ』(共著,新泉社,1987年),『シンポジウム・倭国の源流と九州王朝』(共著,新泉社,1990年)そのほか論文,論考など多数。
目次

〈収録論文一覧〉
答えが先か根拠が先か
古田言説が出現してから
神武東征の意味――日本文学史の構図へのアプローチ(二)
宣命の文辞とその周辺――日本文学史の構図へのアプローチ
日本神話の構造とその成立――「一元通念」の本来の根拠への一考察
『日本書紀』の書名の「書」の字について
唐代文献の日本像――その変化相と連続相と
大和(日本)王権の対唐政策――「一元通念」の源流と文学史
王維が阿倍仲麻呂に贈った詩にあらわれる「九州」、「扶桑」および「孤島」の意味について
日本(大和)王権は冊封を受けず――日中共通認識の確認、および日本文学史・日本王権史の枠組みの提示、ならびに論者の古代探求の回顧と展望


九州王権と大和王権

A5判 上製/272頁
定価 2750円(本体2,500円)
ISBN 978-4-86656-007-6
C0021
2017年6月発行

キーワード:
カテゴリー: 歴史・民俗