漢詩雑話
読む、詠ず、語る著者 近藤 俊彦
自作の漢詩を軸として、漢詩作成の基本知識を始め、漢詩に関する苦心談あり、名詩の鑑賞あり、漢詩に見える時刻表の注意事項あり、井伏鱒二氏らの巧みな漢詩翻訳の成果も紹介され、実に多彩で類まれな内容である。しかも素晴らしい写真が掲載され、思わず自然に溶け込んで飽きさせない。まさに至れり尽くせりの編集である。
自分の作った漢詩を列挙するだけでは、読んで頂く人には、ちっとも面白くないでしょう。わたしが作り濱先生の添削を受けた漢詩を中心に披露しますが、先人たちが残した素晴らしい漢詩を、中国日本を通じて選び出し共に鑑賞し、漢詩にまつわるいろいろなエピソードなども紹介したら、内容が豊富になって面白いものになるのではないかと思い、構成しました。唐代の大詩人とわたしとのアンソロジー(?)。これも畏れを知らぬ素人ゆえの暴挙とお許しください。
素晴らしい漢詩の世界を理解して頂ける人が一人でも増えれば、わたしにとってこれ以上の幸せはありません。
(「はしがき」より) 著者略歴
- 近藤 俊彦
コンドウ・トシヒコ - 昭和14(1939)年11月11日生まれ。昭和33年、大分上野丘高校卒。昭和41年、東京医科歯科大学歯学部卒。歯学博士。昭和41年7月、大分県津久見市に近藤歯科医院を開設。現在に至る。 臼津歯科医師会理事・副会長、大分県歯科医師会理事・専務理事・会長。大分県警察嘱託歯科医会理事・会長。日本歯科医師会代議員、日本歯科医師連盟評議員・理事を歴任。 津久見樫の実会会長。津久見樫の実少年少女合唱団を創設。津久見市文化の日表彰。大分県知事表彰。 平成13年藍綬褒章。平成25年旭日小綬章。 平成27年11月、日本漢詩教育会に入会。濱久雄先生に師事。本書の出版を機に「麟涯(りんがい)」の雅号を拝受。
●漢詩のルール
和習とは
絶句と起承転結
広瀬淡窓の教え
平仄と押韻
仄起式と平起式
童謡を漢詩に
律詩について
漢詩を読み解く
●新年を詠ず
●四季を詠ず 春・夏
梅 花
春 遊
春の歌
梅 雨
ホトトギス 8
初 夏
夏の歌
●四季を詠ず 秋・冬
中秋の明月
秋の歌
晩秋に思う
冬の歌
●故郷を詠ず
津久見を詠ず
田染莊を訪ねて
旅 愁
「太郎林」を行く
●先人に学ぶ
唐詩に倣う
[特別寄稿]鯨背吟について 濱 久雄
わが愛する李商隱
西東三鬼に倣う
●人世の情感を詠ず
喜びを詠ず
女流漢詩人
友 情
悲しみを詠ず
孤独と老い
●忘憂を詠ず
飲 酒
旅に詠ず
●名作を詠み、名訳を読む
夏目漱石と『草枕』
名訳を読む
映像唐詩論 杜甫と李白の世界 平岡豊