あの虹の彼方に
著者 杉 富幸
夫を、父親を、戦争に奪われた 農民一家の苦闘と、父の姿を求め、苦悶する姿を描く自伝的物語。2カ月の結婚生活で、夫は召集、ノモンハンの戦場に倒れる。筑後平野を舞台に、戦争の時代を、懸命に生きた人々の魂の叫び。「私の運命を翻弄した戦争。家庭を崩壊してしまった戦争。戦争によって奪われた父親を慕い、叶わぬ「幻の愛情」を探し求めた幼い日々。私の家族に刻み込まれた、想像を超える深い戦争の傷跡、それでも必死で生き延びてきた。(略)非情な世の風に叩かれ、そしてある時は人の情けに助けられ、その苦しみを乗り越え、夢を信じて生きてゆかなければならない。そんな私の生涯を、これが最後となるかもしれないが、どうしても子孫へ残しておきたかった。」(「あとがき」より)
著者略歴- 杉 富幸
スギ・トミユキ