探証 日本書紀の謎

中学生が解き明かすこの国のはじまり
太宰府中学校三年の東雲日夏は、国語で学んだ『万葉集』 2 番の歌に、いるはずのないカモメが詠まれていること疑問を持つ。「カモメ飛ぶ大和」とは何を意味するのか。歌に詠まれた「大和」とは、現在の「奈良」とは違う地域を示しているのではないのか……。
従来の説明に納得できなかった日夏は、かつて共に「魏志倭人伝」の謎に挑んだ阿比留翔、菊池智彦の三人で日本古代史研究会を結成。『日本書紀』を丹念に読み返しながら、この国の歴史を明らかにする。対話形式でつづる日本古代史。
著者略歴
田原 明紀
タハラ・アキノリ
1953年大分市に生まれる。大分大学経済学部卒。主な著書に『わたしの魏志倭人伝』(海鳥社,2016年)がある。 大分県臼杵市在住。
目次

はじめに

序 章 万葉集の謎
枕詞「やすみしし」
古代史研究会結成

第一章 訴える万葉集
人麻呂からの告発
菜を摘む娘/カモメ飛ぶ大和/死者の鳴弦
倭国の年紀

第二章 倭国濫觴
神話から人代へ
国産み神話と黄泉国神話
天照大神と月読尊と素戔嗚尊神話
天孫降臨神話と海幸彦・山幸彦神話
神武東征
湯布院倭

第三章 大分奠都
二つの謎—金印とやまと三山
志賀島の金印/やまと三山
かぐや姫
日本武尊の足跡
熊襲征伐
並立する二つの王朝/拔じの賢木

第四章 大和王朝
神功皇后の東征
天族の拡がり
熊襲の嚆矢/大分の神社と古墳
見えてきた熊野帝国
武内宿禰の正体/熊野帝国と大和王朝
交奪の大和王朝
隅田八幡神社人物画像鏡の謎/一事主神/浦嶋伝説

第五章 熊野帝国幻影
書き変えられた天皇の出自
熊野帝国探証Ⅰ
「筑紫」と「九州」の由来/騎馬軍団と石人石馬
熊野帝国探証Ⅱ
稲荷山の金錯銘鉄剣/熊野帝国の神々/長者伝説/神籠石

第六章 蘇我氏の王朝
熊野帝国の滅亡
継体天皇の正体/武寧王と七支刀/架空の天皇
蘇我氏誕生
馬子の正体
偽りの遣使
遣隋使と遣唐使/呉の国/植山古墳の被葬者
第七章 皇位転変
傀儡師豊章
山背大兄王の出自/幻の天皇「入鹿」/厩戸皇子の末裔
たぶれごころ
飛鳥の由来/万葉集に隠された人麻呂の思い
大国主神/わざうた
百済王子と高句麗王子

終 章 日本書紀その後
百人一首
大倭夢の跡

主要参考文献


探証 日本書紀の謎

A5判 並製/352頁
定価 2200円(本体2,000円)
ISBN 978-4-86656-094-6
C0021
2021年1月発行

キーワード:
カテゴリー: 歴史・民俗