西国の獅子
著者 劉 寒吉
火野葦平や岩下俊作らと共に、九州の文学を支えた作家の1人、劉寒吉が、
「豊後王・西国の王」と呼ばれた大友宗麟の生涯を描いた戦国歴史小説。
稀代の猛将・戸次鑑連、高橋紹運を従え、
毛利・島津・竜造寺ら群雄が割拠する九州を驀進し、
さらに理想のキリスト教王国を築こうとしたキリシタン大名・宗麟。
その躍進と繁栄、崩壊までを描き切る。
劉は芥川賞候補・直木賞候補(2回)に選ばれ
受賞はのがしているものの、その筆力は高く評価されていた。
地元九州を題材とした歴史小説を得意とした劉が、謀略・知略が複雑に絡まる政治と戦、
そして波瀾万丈な宗麟の生涯を重厚な筆致で活写する。 著者略歴
- 劉 寒吉
リュウ・カンキチ - 明治39(1906)年、福岡県小倉市に生まれる。小説家。本名濱田陸一(はまだりくいち)。第二期『九州文学』の結成に参加し、第五期の休刊号まで同誌を支えた。昭和18年「翁」が芥川賞候補、「十時大尉」が直木賞候補となる。昭和30年「風雪」直木賞候補。北九州市立美術館、旧歴史博物館、市立中央図書館の設立に携わる。また森鷗外旧居の保存や火野葦平らの文学碑の建立など、北九州の文化振興に尽力した。著書『天草四郎』(宝文館1958年)、『竜造寺党戦記』(人物往来社1971年)、『長崎歴史散歩』(創元社1972年)他多数。昭和61(1986)年逝去。
南蛮船
二階崩れ
明暗
南蛮宗事始
渦
良川まで
有明の鷹
雪と紹運
天正少年使節
耳川
国崩し
解説・北九州市立文学館館長 今川英子