ドン・ジョアン有馬晴信

キリシタン大名・有馬晴信はなぜ死罪をいとわなかったのか。
セミナリヨの設置、天正遣欧少年使節などイエズス会の日本での展開に献身的な支援を捧げた有馬晴信。デウス号への攻撃、岡本大八を介した贈収賄事件、幕府からの「死罪」の宣告。謎に満ちた有馬晴信の行動を、イエズス会との関係で解き明かす。

四百年前、甲斐国山中の配所「初鹿野丸林」(現・山梨県甲州市大和町)で「五十一」年の生涯を閉じたキリシタン大名ジョアン有馬晴信は、幕府の役人パウロ岡本大八の奸計にはめられ落命した、とされてきた。しかし、その死が「身代わり」的なもの、主君イエズス会の目的を果たすために引き渡されたものであったとしたら、どうだろうか?
本書は、その仮定があながち嘘ではないことを、証明してくれるに違いない。木後四百年の節目にあたり、誰も気付かなかった晴信の死の謎を明らかにし、真実を提示して晴信と彼に関連するキリシタン史の再考・再発見に供しようと、なかば歴史に押されるかたちで筆を執った。(本書「まえがき」より)
著者略歴
宮本 次人
ミヤモト・ツギト
1951年生まれ。鳥取大学農学部農学科応用昆虫学専攻中途退学。株式会社島原新聞記者。島原市文化財保護審議委員。
目次

まえがき
序章 没後四百年
初鹿野に逝く
有馬家第十三代晴信
有馬晴信の誕生年をめぐって
第一章 神の戦士・有馬晴信
有馬晴信の信仰事績
沖田畷戦で人生観を確立
西欧で歪められた晴信像
第二章 一味同心・岡本大八事件
岡本大八事件の真相
演出されたデウス号事件
第三章 晴信に見るキリシタン信仰の世界
武士道的キリシタン信仰
偏諱的意味を持った先例・堅信名
武人イグナシオへの崇敬
武士道とキリシタン
「主人を歎く」キリシタン
「虚空蔵菩薩」をめぐって
終章 日野江の祈り
晴信を支えた夫人ジュスタと義母マリア
イグナシオの祝祭と晴信の墓地
花十字墓碑
有馬晴信略年譜/あとがき


ドン・ジョアン有馬晴信

四六判 並製/194頁
定価 1870円(本体1,700円)
ISBN 978-4-87415-867-8
C0021
2013年2月発行

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カテゴリー: 歴史・民俗