コラム◎ 大濠の季節 補遺 勝瀨志保
小雪 しょうせつ 11月22日
落葉期は日々、彩りの移り変わりに目が離せない。同じ種類の樹でも陽当たりや吹きさらしといった条件で変貌にずれがでる。わりと薄手のサクラの葉と、刺々しく堅いクヌギの葉では変化の速さ、落下するまでの期間がまるでちがう。
黄から茶系統に染まってみごとなのはイチョウ、イヌビワ、ムクノキ、エノキ、クヌギ、スズカケノキ。紅から朱系統の筆頭はサクラ、モミジ、ニシキギ、フウ、ハゼ、ツタ、ドウダンツツジ、ケヤキ、メタセコイア。赤と黄の両方に染め分けるのがウメ、ナンキンハゼ、トウカエデ、アキニレ。散ってからも、いわゆる枯葉色になるまで、土の上で色変化は続く。
落葉樹は冬の低温と乾燥を葉を落とすことで乗り切ろうと、葉柄の付け根を遮断して水の流れを止めるのだとか。葉緑体が解体されると緑のクロロフィルが消滅して、ゆっくり分解する黄色のカロチノイドだけが残った状態が黄葉。遮断されてもしばらくは続く光合成で糖分が葉にたまり、赤い色素のアントシアニンが合成されたのが紅葉らしい。昼間に晴れて気温が上がり、夜に高い湿度で急激に冷え込むと鮮やかになる。