コラム◎ 大濠の季節 補遺 勝瀨志保

白露 はくろ 9月7日

長雨のあと一気に涼しくなって秋の気配。天気予報はもう一回、三十度を超えると言っているが、どこまでも澄んだ青い空は後戻りしそうにない。それが証拠に、しばらくいなかったジョウビタキが舞鶴城址に帰っている。イソヒヨドリの姿もチラホラ、聞き慣れない甲高い小鳥の声も響き始めた。木間がまた賑やかになってきたようで、うれしい。
雨にそそのかされてキノコがあちこちでニョキニョキ。草も見る見る背丈を伸ばして地味な花を開き始める。今期最後かも、石垣からやっと芽吹いたヨウシュヤマゴボウ。紫色の実は触ると指が紫に染まる。ゴボウと野菜みたいな名前だが有毒なので、ままごとには厳禁。

キンエノコログサが秋の陽を浴びて金色に光る。節から茎を長く折り取って猫の前で振るとよく遊ぶので別名、ネコジャラシ。

ハマスゲが特有の長いしべをクリクリと無数に露出して、なんだか健気でいじらしい。ツクツクボウシが最後の声を振り絞って、とりわけ猛暑だった今夏が過ぎ行くのを惜しむ。