コラム◎ 大濠の季節 補遺 勝瀨志保

立秋 りっしゅう 8月7日

えっ、もう秋なのって言いたくなるような暑さが続く。それでも夜出歩くと風はヒンヤリ心地良くなってきた。大音響のセミだけではなく、暗くなると草むらで微かな虫の声が聞こえ始めた。確かに季節は進んでいる。
今夏はなぜだか堀割のハスが例年になく花を多くつけている。いつもはお盆の頃が最盛期だけれど、今年は七月初めからあちこちで花が開いた。小さな尖った蕾がだんだん膨らんでまん丸なボール形になる。花弁の縁がほんのり紅に染まってほころび始める。次第に水平に大きく開き、色鮮やかな黄色い花芯がせり出してくる。朝夕に開いたり閉じたりしながら、だんだん紅が失せて白一色になり、三日目頃からハラハラと花弁を散らす。その様子は池面を漂う白いゴンドラのよう。
北側の一から五号までの長い堀割のハスと、南側の護国神社前の小さな六号池のハスが違うことをご存じだろうか。一言で表現すれば北は雄々しく、南は女々しい。紅の色がいちばん濃い蕾の頃で比較すればこんな具合。どちらも趣を異にして、それぞれに美しい。