コラム◎ 大濠の季節 補遺 勝瀨志保

小寒 しょうかん 1月5日

寒が極まる頃、晴れ渡った空にトビが群れ飛ぶ。何十羽もが輪を描いて柱をつくることも。人がおもしろがってパンの切れ端などを投げ上げると、視力抜群のトビが見つけて急降下、みごと空中でキャッチ。もっと投げろと催促がましく順番にかすめ飛ぶ。そばに寄るとさすが猛禽、大きい体、先の曲がったくちばし、太い爪も恐ろしい。なによりもその眼光が鋭い。

トビ3羽


言祝ぎの正月にトビとマガモを選んだのには訳がある。トビは「飛び」が語源で、その飛翔力のすばらしさから命名された鳥の中の鳥。留鳥または漂鳥に分類されてはいるけれど、大濠ではなぜか冬にいちばん目立つ。一方、マガモは冬にやって来る渡り鳥、カモの中のカモというわけ。同類で標準的、完全である、本物である、すぐれているを「真」という接頭語が示している。
鴨類は、雌雄同大同色のカルガモ以外は、褐色で地味な雌に比べ、雄の羽衣が美しい。特にこのマガモの雄は頭から首にかけての羽が陽光のあたり具合で青から緑、紫まで七変化する

雄のマガモ