大航海時代のアジアと大友宗麟

鎌倉時代から戦国時代にかけての400年間にわたって九州の豊後(大分県)と統治した大友氏。その第21代大友宗麟(義鎮)は、北部九州6カ国に領地を拡大し、中国地方の毛利元就や南九州の島津義久と覇権を争った。この大友宗麟は、東南アジアの国々に船を出し、島津氏との決戦の前にはキリスト教の洗礼を受ける。
16世紀半ば、フランシスコ・ザビエルをはじめ、日本にキリスト教を広めにやってきたポルトガル人やスペイン人は「南蛮人」と呼ばれていた。「南蛮」とは中華思想の中で、南に住む異民族を意味する言葉で、地理的には現在の東南アジア地域をさす。中世の日本人の頭の中では、ポルトガルやスペインも東南アジアの一部であるように認識されていて、彼等にとってはアジアが世界の全てだった。
九州は日本の中で、朝鮮半島や中国、東南アジアに最も近い。厳格な国境意識が芽生える以前の中世の九州に生きた人々にとって、アジアは身近なばしょであり、そして自らの存在自体がアジアだった。
およそ500年前の日本人が認識していたアジアから、戦国日本を見つめ直す。
著者略歴
鹿毛 敏夫
カゲ・トシオ
1963年、大分県生まれ。広島大学文学部史学科卒業、九州大学大学院人文科学府博士課程後期終了。現在、東京大学史料編纂所国内研究員、国立新居浜工業高等専門学校准教授。博士(文学)、修士(教育学)。
目次

はじめに
1 豊後府内の起源と歴史
2 大友家の発祥と発展
3 大友時代を生きた人々
4 雪舟と豊後
5 遺物が語る中世
6 海から見た大友時代
7 現代中国の中の中世日本
8 明代中国と豊後
9 大友遣明使の旅
10 北京での大友遣明使
11 倭寇と戦国大名の関係
12 現代東南アジアと豊後府内
13 カンボジア王国との交流
14 ポルトガル王国の繁栄
15 フランシスコ・ザビエルのアジア宣教
16 リスボン、サン・ロケ教会の油彩画
17 ドイツの大友宗麟
18 インドから考える
19 アジアから見た戦国日本
大友氏関連年表
近年刊行の参考図書


大航海時代のアジアと大友宗麟

A5判 並製/152頁
定価 1870円(本体1,700円)
ISBN 978-4-87415-875-3
C0021
2013年1月発行

キーワード:
カテゴリー: 歴史・民俗