コラム◎ 大濠の季節 補遺 勝瀨志保

春分 しゅんぶん 3月20日

 啓蟄は過ぎたのにまだ虫の姿を見ないと訝っていたら、その翌々日に動きがあった。前年の12月からときどき覗いていた越冬中のゴマダラチョウの幼虫がいなくなったのだ。横に張り出したエノキの枝の下面に台座を作って、飲まず食わず寒風に耐えていた健気な芋虫。エノキの芽立ちに先駆けて、枝先に移動したらしい。

 この三ヶ月間で一度、一月のポカポカ陽気になった昼間、頭を持ち上げて方向転換したのを見ただけ。生きているのか死んだのかわからないぐらいずっと不動だった。ゴマダラチョウはタテハチョウの仲間で成虫は大きめの部類。幼虫は今どこで待っているのか、出てきた若葉をたらふく食べて、やがて蛹になり、蝶へ羽化する。

 同じ日に近くでルリシジミが飛んでいるのを見つけた。数日後にはベニシジミも翅を広げて日向ぼっこ。やはり春分、いよいよ蝶が飛び交う季節の到来というわけだ。

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