コラム◎ 大濠の季節 補遺 勝瀨志保
清明 せいめい 4月5日
啓蟄までは今度の節気はなにがあるかなぁだったが、春分を過ぎればどれにしようかと迷うほど季節変化が速くなる。花も鳥もうれしい出合いはあったのだけど、清明というからにはやはり、眼にも鮮やかな若葉色の芽立ちでしょうね。モミジは赤い花と、ケヤキやクヌギは薄緑の花房と同時、シロダモは誇らしげに金や銀の産毛に包んで、カナメモチは燃えるような赤、待ちに待った季節の到来を歓喜しているかのようだ。
たとえばスズカケノキは、冬の間は裸の樹に焦茶色の実だけが寂しくぶら下がっていた。ところが今は切れ込みがある幼葉に守られて、ほんのり赤いボンボン飾りのような花もいっしょに垂れる。シナサワグルミはツンと天を突く幼葉の下、簪のような雄花を風に揺らす。
![シナサワグルミ芽立ち](http://kaichosha-f.co.jp/wp-content/uploads/2013/04/83a037f7ff1ca62597ac4f196fe24277-199x300.jpg)
落葉と芽立ちが同時のクスは、もっとドラマチック。大量の落ち葉が樹の廻りを毛氈と覆い、薄紅のやわらかい若葉がわき上がる入道雲のようにムクムクと萌え立つ。
![クス芽立ち](http://kaichosha-f.co.jp/wp-content/uploads/2013/04/9eacc1077ac3c3f5a89df2e678423b12-300x199.jpg)