コラム◎ 大濠の季節 補遺 勝瀨志保

夏至 げし 6月21日

台風に運ばれて本格的な雨雲が到来した。そこで彩りだけでも爽やかな若葉色を選んでみよう。不思議なことに並べてみると、ムクノキ、ハス、カラムシと草木は別種なのに、トーンがまるでいっしょ。梅雨時のテーマカラーなのかもしれない。
まず、ムクノキは頼りなげだった若葉もすっかり分厚くなって、よく見るとしっかり緑色の実を育んでいる。太陽が天空に昇る前、適当な斜光で葉を透かして写真を撮ると一面が緑の海。爽やかな空間の演出、結構気に入っていろんな木で試している。

ハスの新葉の変化もおもしろい。ツンと赤い角が水から生えたと思ったら、水面にそってまあるく葉を開く。それからおもむろに茎を伸ばして持ち上げていく。まだ幼いこの葉は筋張った葉脈と波打ちに従って、梅雨の雨粒を数多く葉面に転がしていた。その配置や規則性、粒の大きさが気になって仕方ない。

三脚を立ててマクロレンズをセットし、ファインダーに目を当てた途端、向こうからこの子が覗いていた。やぁ!てなもん。ラミーカミキリ、最近はどこにでもいる外来種で大きさは二センチ弱。淡い水色地に黒を散らして、なかなかおしゃれでしょう。