コラム◎ 大濠の季節 補遺 勝瀨志保
大寒 だいかん 1月20日
落葉樹の幹や細枝の茶系統と常緑樹の黒ずんだ緑、色気が乏しくて寂しい限りの大濠。今年はハコベやオオイヌノフグリの若葉も少なく、なんだかやけに遅い。目立つ赤味といえば、大樹に競り上がっていくマメヅタが、胞子葉を高く掲げて見下ろしている。思い返すとマメヅタの胞子葉が気になるのはいつも真冬だったような…。何本かいただいて、接写レンズで撮していたら、ライトの温度に反応したのか、バチバチバチッとかわいい胞子が飛びだした。
そう、スイセンもまだポツポツとしか咲いてない。これは去年見つけたみごとなひと群だが、惜しむらくは千切られた葉先。花の匂いは夜の方が香しく、牡丹園の南斜面一面に広がった群生も、白い花だから月明かりに浮かび上がり、甘い香りに包まれる夜桜ならぬ、夜水仙がおすすめ。
群れといえば、冬場のスズメはなぜか群れたがる。街中は減少したといわれるけれども、大濠にはこの通り。どこにつくっているのか、まだまだ雀のお宿には事欠かないらしい。