コラム◎ 大濠の季節 補遺 勝瀨志保

小暑 しょうしょ 7月7日

七夕の日に小暑は重なる。今年は梅雨入りが早かったから、七夕の夜は晴れて天の川が見えないかなぁ。私が子どもの頃は大濠から夜空を見上げれば、キラキラと無数の星が輝く天の川がくっきりと流れていたのに。むくむくと入道雲がわき起こる夏空ももうすぐ。
そんな夏を彩るのがヒルガオ、やさしい薄紅色にはいつも心惹かれる。咲き始めは梅雨だから、別名を雨降花とも。かわいいのに園芸種にならなかったのは、そのすさまじい再生力。野放しにするととんでもないことが起こる。茎や蔓を分断すると、その一つ一つが一個体に成長するとか。万葉の時代から延々と生き続け、まるでエイリアン。

一方、ネジバナは古今集だから、平安時代以来親しまれてきた。もじずりの別名を聞けば、あぁ、あの歌ねと思い至る人も多かろう。それがなぜか今年は大発生。城内の藤園から菖蒲園に向かう途中のツツジ谷前の草原一面にツンツンと花穂を出している。小さいけどランの仲間で、多い穂は一本で五十個も花をつける。ほとんどが左巻きだけど、右巻きも、へそ曲がりの一本槍もいるもよう。

もう一つ、六号池の小柄なスイレンを加えて、紅シリーズを締めくくろう。