コラム◎ 大濠の季節 補遺 勝瀨志保

立春 りっしゅん 2月4日

 この日から春とはいうけれど、だだっ広い大濠にはまだ寒風が吹きすさぶ。ので、少々色めき立つ話題でも。いままで使ったことのない言葉だから多少抵抗はあるのだが、大濠のイケメンたちを紹介しよう。イケてる+メンズ。10月末から4月始めまで半年間滞在するカモの仲間の、しゃれた面立ちのmensである。
 先ず筆頭は飛来する数が少ないハシビロガモ。以前取り上げたマガモ同様、頭の緑は光の具合で緑〜群青〜紫に七変化、鼻筋が通って細面だし、体の羽も艶やかで色数が多い。

ハシビロガモ


 次に派手さ控えめのキンクロハジロ。モノトーンでシンプルに決めてはいるものの、その漆黒の中にちっちゃい金の瞳が妖しく輝く。これでは見えないけれども頭の後には、長い黒の羽根飾りをヒラヒラさせる。

キンクロハジロ


 続く三枚目はヒドリガモで、最も多いホシハジロに次いでかなりの数。目立ち加減では引けを取るが、微妙な中間色にグラデーションをかけ、羽の黒縮緬はとても細やか。それに額から後頭部にかけて黄色のモヒカン刈りとは笑わせる。結局のところ、人の世も同じだけど、どれも個性的で、多種多様だからおもしろい。

ヒドリガモ