コラム◎ 大濠の季節 補遺 勝瀨志保

霜降 そうこう 10月23日

 実りの秋もいよいよ終盤。特に一年草は冬枯れに先立って、子孫を残す算段にあわてて取り組まなければ間に合わない。
 子どもの頃によく摘んで遊んだエノコログサ=ネコジャラシは、花が咲いたかと思ったら、早々と種をばらまく。芒の長い穂は誰もがそれと知るけれど、種子をじっくり見たことはなかったような…。端正な瓜実顔はまぁいいとして、細かいドットで一つ一つ丁寧に波形がレリーフされている。思わず、何のためにと唸りたくなる。

 ついでツユクサ、がくの中に隠れて成熟するので、こじ開けなければ目にすることはない。凸凹の表面に対して、平坦で中筋がある裏面。エノコログサはどれも押し並べてだったけれども、ツユクサは一粒一粒の形が微妙に異なる。

 花の時期から目星をつけていたクズの莢房は、蓮堀の上だったので種を落とす前に千切ってみた。こっちは花から実までにかなり間が空く。まだ完熟とまでいかないのか、鮮やかな斑模様と白い口を開いた湯たんぽ形があいらしい。