福岡市文学館選書1
黒田如水
著者 福本 日南
本書は、後の金子堅太郎による伝記『黒田如水伝』(博文館、大正5年刊)とともに、後の黒田、秀吉などの歴史小説の種本となった。司馬遼太郎の『播磨灘物語』冒頭は、本書の「如水親子の羅馬字印」から使われている。日南の文章は漢籍の素養に裏打ちされ、文体を持たない史書とは一線を画す美しいものがある。 著者略歴
- 福本 日南
フクモト・ニチナン - 安政4年(1857)〜大正10年(1921)。福岡藩士・福本泰風の長男として生まれる。幼名は巴。後に誠と改名。藩校修猷館に学び、明治7年に上京。明治9年、司法省法学校に学ぶも「賄征伐」により原敬、陸羯南らと処罰を受け退校。明治22年、新聞「日本」を創刊。同年にはフィリピンに渡航し、この頃から「日南」と号す。明治38年「九州日報」の第4代社長兼主筆、明治41年には憲政本党所属で衆議院議員となり政治家として活躍。