平和ブックレット 3
センセイ、ハタ アル?
著者 山川 剛
チョン・ジンソク君は、1年生の3学期に、父親の転勤でソウルから長崎にやってきた韓国の男の子。4年生になったチョン君。「センセイ、ハタ アル?」と私に尋ねました。ハタ?あ、そうか運動会の万国旗のことだ!運動会の万国旗の中に、自分の国の旗があるか気になっていたのです。「そりゃああるさ、だってお隣の国だもん」と私。運動会の前日、私はチョン君の国の旗を探しました。ない!何回も見直しましたが見つかりません。私は、本を見ながら、初めて韓国の旗を描きました。当日の早朝、手づくりの旗は若い先生たちの手でしっかり結びつけられました。チョン君が韓国に帰ることになりました。韓国の教科書で勉強するチョン君は、日本のことをどう学ぶのだろうか。こうして、韓国の小学生が使う歴史教科書を学ぶ取り組みが始まりました。として、親子でチョン君のいる韓国を訪ね、親子で文集まで作り上げました。チョン君のひとことから始まった「親と子の韓国平和の旅」は、歴史認識を共有するための長い長い旅の第一歩でした(本文より)
著者略歴- 山川 剛
ヤマカワ・タケシ - 1936年、長崎市に生まれる。36年間、長崎の小学校に勤務する。在職中から平和教育に力を注ぐ。1980年、ユネスコ軍縮教育世界会議に参加する。「長崎県原爆被爆教職員の会」副会長、2005年より活水高等学校非常勤講師。著書に「平和ブックレット」シリーズ(現在5巻)『希望の平和学』(長崎文献社)がある。