「よかトピア」から始まったFukuoka

アジア太平洋博覧会の舞台裏

「福岡」から、アジアの拠点都市「FUKUOKA」へ。その原点は、1989年。福岡市は1990年から毎年9月を「アジアマンス」と銘打ち、89年に始まった「アジア太平洋こども会議」も今年で22回目、99年には「福岡アジア美術館」が開館、福岡とアジアの各都市を結ぶ便もこの20年で飛躍的に増え、香港の「アジア・ウィーク」誌は福岡市を「アジアのベスト・シティ」に選出した。今や福岡は、アジアの拠点都市「FUKUOKA」へと変貌を遂げた。しかし、その原点が89年の福岡市制100周年に開かれた「アジア太平洋博覧会-福岡89(愛称・よかトピア)」にあることは、あまり知られていない。本書は、「よかトピア」の構想から出展要請、開催に至るまで最前線で奮闘してきた元・事務局長の目を通して、その舞台裏を初めて明かしたものである。何ゆえ「アジア太平洋」というキーワードが生まれたのか、何ゆえ海外37カ国・2国際機関、国内33館もの出展が叶ったのか、何ゆえ目標を上回る総入場者数823万人を達成できたのか。それらの答えが、本書の中にある。本書は、85年から90年の5年間の博覧会の軌跡を記したものだが、同時に福岡市がドラマティックに変貌していく軌跡でもあり、また同時代を象徴する大物たち。東急電鉄の五島昇社長やソニーの盛田昭夫会長らも登場するなど、昭和の最後の5年間をリアルに回想できる作りにもなっている。博覧会は「人づくり」、「街づくり」の集大成である。広告代理店任せではなく、「手作り」で進めたその手法は、昨今声高に叫ばれる「地方分権」のノウハウ本としても、十二分に活用できると考える。ぜひ、次代を担う若い人たちにも読んでいただきたい。

著者略歴
草場 隆
クサバ・タカシ

「よかトピア」から始まったFukuoka

四六判 並製/272頁
定価 1650円(本体1,500円)
ISBN 978-4-87415-764-0
C0095
2010年3月発行

キーワード:
カテゴリー: 社会