伝統演劇の破壊者 川上音二郎

オッペケペー節、書生芝居で知られ、毀誉褒貶相半ばする人物である川上音二郎。しかし、日本近現代演劇開拓の先駆者としての功績は大きい。
時代の機をみるに敏で、最新事件や日清戦争劇の上演で新演劇の基礎を確立。妻の貞奴とともに欧米を巡業し、そこで観たシェークスピア劇や児童劇などの西洋演劇を積極的に日本に紹介、演劇改革を行った。さらに近代的舞台装置を取り入れ、帝国座を建設するなど、劇場改革も行った。
川上音二郎の破天荒で波瀾万丈な人生を辿り、その功績を演劇史上に位置づける。
著者略歴
岩井 眞實
イワイ・マサミ 
昭和34(1959)年、奈良県生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程(芸術・演劇)終了。福岡女学院大学教授を経て、現在、名城大学教授。専門は演劇学・近世文学。主な著作に「身体への視点」(『岩波講座 歌舞伎・文楽』)、「博多興行史 明治編(一)〜(十)」(「歌舞伎 研究と批評」武田政子、狩野啓子との共同執筆)、翻訳に『クローサー』『ハワード・キャッツ』『ディーラーズ・チョイス』(いずれも海鳥社)などがある。
目次

誕生から博多出奔
 不思議な生まれ、不思議な名前/幼年時代/博多出奔
自由民権の壮士
 自由民権運動とは/演説遣い/若き運動家たち/自由童子/講釈師から落語家へ
書生芝居への道
 歌舞伎に出演する/改良ニワカ/「改良」の時代/明治二一年・二二年博多
 角藤定憲
一座旗揚げ
 「明治二十年国事犯事件顚末」/書生ニワカ/書生芝居/中村座進出
 「オッペケペー節」/新演劇、市民権を得る/書生芝居の余波/第一回洋行
 明治二六年博多/「意外」シリーズ/日清戦争劇
絶頂から転落へ
 明治二八年博多/川上座/選挙に出る/二度目の落選/逃避行
欧米漫遊
 サンフランシスコへ/シカゴからボストン/ワシントン、ニューヨーク、そしてロンドン
 パリ万博/再び欧州へ
正劇運動
 「オセロ」/「マーチャント・オブ・ヴェニス」と「ハムレット」/明治三七年博多
 二代目市川左団次と川上/明治四〇年博多
帝国座、そして死
 川上革新興行/自由劇場と文芸協会/帝国座/明治四三年、四四年博多
 明治四四年博多、そして死

川上音二郎年譜
索引


伝統演劇の破壊者 川上音二郎

A5判 並製/248頁
定価 2420円(本体2,200円)
ISBN 978-4-86656-145-5
C0095
2023年4月発行

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カテゴリー: 歴史・民俗