九州の一揆・打ちこわし
著者 宮崎 克則
近世「世直し一揆」の実像。一揆や打ちこわしは、どのような社会的背景のもとに組織され、どのように展開されたのか。そして、百姓たちは自らの行動をいかに正当化したのか-。九州をフィールドとして、当時の記録と現地調査にもとづき、九州の民衆運動を大胆に捉え直した意欲的論考。「打ちこわしには近代性と異なる原理が認められる。当時の村落内部には、近代化を進める流れと反近代の流れが併存し、その対抗の中で打ちこわしは発生しており、近代化を進める階層への制裁が打ちこわしであった。〈徳〉の規範を揺るがし、共同体から抜き出ようとする庄屋・「徳人」を打ちこわす行為は、彼らを共同体から排除しようとするものでなく、〈徳〉の実施を強要する一時的な制裁であり、制裁の後はともに村の住民として居住していく(居住していかねばならない)。」(終章より)
著者略歴- 宮崎 克則
ミヤザキ・カツノリ - 1959年、佐賀県生まれ。九州大学(総合研究博物館)助教授を経て、西南学院大学(国際文化学部)教授、文学博士。福岡市在住。
著書に『大名権力と走り者の研究』(校倉書房)、『逃げる百姓、追う大名』(中央公論社、2002年)、『九州の一揆・打ちこわし』(海鳥社、2009年)ほか。