伊勢参宮日記を読む

北部九州編
「お蔭参り」や「抜け参り」など、江戸期に爆発的に増えた伊勢への参詣者。彼らはどのように伊勢に参ったのだろうか。北部九州に残る参宮日記を繙き、参宮の旅程、立ち寄った場所など、当時の旅の様子を明らかにする。

(前略)実際の旅姿はどのようなものであったのかは、多様であったと想定するのが実態にかなっていよう。その一端を垣間見る資料が、道中記とか参宮日記と称される記録類である。(中略)
 しかしながら、いざ参宮日記を紐とこうとすると、手ごわさも付きまとう。まず、遠方から伊勢参りを果たす人々の旅程は長く、現在のどこを通ったのか、また克明に記されている出納箇所の、今の金額に換算すると如何ほどになるのかなど、ついつい解説がほしくなる。さらに、なぜ伊勢参りの道中でそのようなところへ立ち寄ったのだろうか、史跡名勝の来歴、あるいは購入した土産品の由来など、説明がほどこされておれば、手頃な便となり、「見ぬ世の旅人」の追体験ともなろう。
(皇學館大学特別教授 櫻井治男「見ぬ世の旅人を追う」より)
著者略歴
甲斐 素純
カイ・モトズミ
1952年、大分県生まれ。皇學館大学文学部国史学科卒業。現在、宝八幡宮宮司、行政相談委員、玖珠郡史談会事務局長。
目次

出版を祝して 太宰府天満宮宮司 西高辻信良
「見ぬ世の旅人を追う」皇學館大学特別教授 櫻井治男

第一章 伊勢参宮と御師

 御師と参宮
 御師と檀家
 御師の縄張と株
 御師の階級と数
 御師の壇家回り
 伊勢土産
第二章 豊後の伊勢参宮
 三浦梅園の「東遊草」
 梅園の敬神・尊皇の一端
 日田郡内河野村庄屋の参宮
 大分郡高城村庄屋の「伊勢参宮日記」
第三章 筑後の伊勢参宮
 八女郡福嶋よりの参宮
 浮羽郡須川村よりの参宮
第四章 日向の伊勢参宮
 伊勢参宮と西国巡礼
 田原村庄屋の伊勢参宮
 幕末、田原村庄屋の伊勢参宮
第五章 肥前の伊勢参宮
 「伊勢参宮並大和巡道中記」
 陶器の里、伊万里よりの伊勢参宮
第六章 江戸の旅
 旅の心得
 旅の道具
 旅籠代・そば代・船賃などの諸経費

参考文献一覧
あとがき


伊勢参宮日記を読む

四六判 並製/240頁
定価 1980円(本体1,800円)
ISBN 978-4-87415-934-7
C0021
2015年2月発行

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カテゴリー: 歴史・民俗