東亜考古学論攷

鞍形磨臼や支石墓に見る原始の北東アジア関係、
陶質土器や鉄、象嵌など種々の技術革新が物語る南北世界の形成、
海底遺跡から明らかになる東シナ海交易の実態、
さらにシルクロードを介した遙か西域との文化交流まで──
時空を越えて広がり続ける探究心の軌跡。
著者略歴
西谷 正
ニシタニ・タダシ
1938(昭和13)年、大阪府高槻市生まれ。1966年、京都大学大学院文学研究科(考古学専攻)修士課程修了。奈良国立文化財研究所研究員、福岡県教育委員会技術主査、九州大学助教授を経て、1987~2002年九州大学教授、1993~96年佐賀県立名護屋城博物館初代館長、2004~08年韓国伝統文化学校(現、韓国伝統文化大学)外国人招聘教授。現在、海の道むなかた館長、糸島市立伊都国歴史博物館名誉館長、九州歴史資料館名誉館長、九州大学名誉教授、日本考古学協会名誉会員、名誉文学博士(東亜大学校・国立公州大学校)。 [主な著書・編著]『東アジア考古学辞典』(東京堂出版)、『魏志倭人伝の考古学-邪馬台国への道-』(学生社)、『古代北東アジアの中の日本』(梓書院)、『邪馬台国をめぐる国々』(雄山閣)、『古代日本と朝鮮半島の交流史』(同成社)、『北東アジアの中の弥生文化』『北東アジアの中の古墳文化』『地域の考古学』(梓書院)、『私の東アジア考古学』(海鳥社)など。
目次

■第1章 [総説]東アジアにおける対外交流の諸段階

■第2章 弥生文化とその周辺
第1節 北東アジアの鞍形磨臼
第2節 紀元前後の東アジア
第3節 美松里型土器とその文化について──中国・東北考古学に触れて
第4節 北東アジアの中の新町支石墓群
第5節 日朝原始墳墓の諸問題
第6節 漢帝国と東アジア世界
第7節 東アジアの中の楽浪郡
第8節 烏丸鮮卑東夷伝の考古学
第9節 倭の国邑と倭国の乱
第10節 中国・東北地方における初期鉄器資料
第11節 済州島と弥生文化

■第3章 北東アジアの古墳文化
第1節 東アジアの中の武寧王陵
第2節 加耶から見た古代の近畿
第3節 渡来人の虚像と実像──加賀の渡来文化に関連して
第4節 象嵌技術の系譜
第5節 朝鮮・三国時代の土器の文字
第6節 日本古代の土器に刻まれた初期の文字
第7節 日本出土の朝鮮系土器

■第4章 古代統一国家群の諸相
第1節 唐・章懐太子李賢墓の礼賓図をめぐって
第2節 泰山における封禅と渡来唐人・破斯人
第3節 拍板について
第4節 朝鮮古代の連珠文
第5節 正倉院の中の新羅文物
第6節 渤海・塔基墓の背景

■第5章 中・近世の東アジア
第1節 1982年度新安海底発見の木簡について
第2節 1983年度新安海底発見の木簡について
第3節 朝鮮陶磁と日本の交流諸問題
第4節 高麗の双鳳文柄鏡について
第5節 石戦について
第6節 高麗・朝鮮両王朝と琉球の交流
第7節 キリシタン考古学の成果

■第6章 シルクロードの考古学
第1節 シルクロードの文化遺産
第2節 新疆から朝鮮・日本まで
第3節 朝鮮古代文化の源流をシルクロードに求めて
第4節 古代の九州・日本にとってのシルクロード
第5節 新疆ウイグル自治区における農業──その過去と現在
第6節 新疆雑感
第7節 西域から日本まで

■第7章 東アジア考古学の諸問題
第1節 東アジアの「越・韓・琉」──物質文化
第2節 日本と東アジアの水中考古学
第3節 朝鮮半島西南部の水中遺跡

■第8章 北東アジアの世界文化遺産
第1節 国境をまたいで登録された高句麗遺跡群
第2節 世界文化遺産に登録された高句麗の遺跡
第3節 公州・扶余地区の世界文化遺産登録戦略


東亜考古学論攷

A5判 上製/650頁
定価 13200円(本体12,000円)
ISBN 978-4-86656-156-1
C0021
2023年12月発行

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カテゴリー: 歴史・民俗