平和・反原発の方向
松下竜一未刊行著作集第5巻。闘い続け書き続けた、屹立する精神。反対だと思うのなら、反対の声をしっかりあげよう。環境権訴訟から出発し、命と自然を侵すものにその意志を屹立させ続けた30年。自分の中の絶望と闘いつつ、一貫して弱者・少数者の側に立ち反権力を貫いた、勁〈つよ〉き草の根・不屈の足跡。【解説】渡辺ひろ子「一匹のアリとして」【編集後記】新木安利
「勁草の人」彼は闘い続け、そして書き続けた。〔略〕「書く」と「闘う」は、彼の中で分かちがたく一体化していた。家族を愛し、田舎町での貧しくとも平穏な暮らしを守りたいという、たったそれだけのささやかな願いさえも阻もうとするものに対しての怒りが、「書く」、「闘う」に激烈に表現されていった。その激しさに我々は息を呑む。彼がハンドマイクを握って叫ぶ声は、そのまま、彼が書斎で文章を書く時の筆圧の強さでもある。彼の強さに我々は心奪われるのだ。(渡辺ひろ子「一匹のアリとして」より)
- 新木 安利
アラキ・ヤストシ 1949年、福岡県椎田町(現・築上町)に生まれる。北九州大学文学部英文学科卒業。元図書館司書。1975年から『草の根通信』の発送を手伝う。
【著書】『くじら』(私家版,1979年)、『宮沢賢治の冒険』(1995年)、『松下竜一の青春』(2005年)、『サークル村の磁場』(2011年)、『田中正造と松下竜一』(2017年)、『石原吉郎の位置』(2018年)、『石川啄木の過程』(2019年、いずれも海鳥社)
【編著書】 前田俊彦著『百姓は米を作らず田を作る』(海鳥社,2003年)、『勁き草の根 松下竜一追悼文集』、(草の根の会編・刊,2005年)『松下竜一未刊行著作集』全五巻(海鳥社,2008年~2009年)- 梶原 得三郎
カジワラ・トクサブロウ - 1937年、大分県下毛郡上津村(現・中津市本耶馬渓町)に生まれる。1956年、中津南高を卒業して、住友金属小倉製鉄所の日雇い臨時工となる。約六年後に正社員。1972年、35歳のとき、火力発電所の反対運動に立ち上がった松下竜一と出会い、以後、さまざまな市民運動をともにする。1974年、海面埋め立て阻止行動で逮捕され、37歳で失職。その後、さかな屋(18年)、私立短大学生寮管理人(18年)を経て、72歳で無職となり、現在74歳。
1反原発
2死刑囚と政治
3ガサ入れ
4甲山事件
5日出生台
初出一覧
一匹のありとして 渡辺ひろ子
勁草の人 『松下竜一未刊行著作集』編集後記 新木安利(一部抜粋)