福岡市美術館叢書5

筑前高取焼の研究

筑前福岡藩の藩窯・高取焼は数奇者大名・小堀遠州の好みをうけた「遠州高取」の名で世に広く知られるが、じつはその成立の具体的経緯や背景についてはほとんど何も解明されていないというのが実情である。のみならずその前進たる「古高取」からの造形的な変容の原因や過程についても詳細は一切不明であり、さらにまた京都、大阪、堺などの消費地遺跡から近年あいついで発見された内ヶ磯窯製品の流通事情や制作背景などについてもほぼ未解決の状態といってよい。
そのような高取焼の歴史究明の現状に対し、本書は生産窯や消費地遺跡など最新の考古学発掘調査の成果や、あらたに知見に加わった文献史料の分析的考証、幾多の伝世作品の実見精査などによりながら、これまで放置されていた高取焼の諸問題について包括的視点から再検証をおこなって、いまだ解明されていない高取焼の実像を実証的体系的に提示するものである。地元福岡市の美術館に勤務するという地の利をいかしながら展覧会開催を舳とした四半世紀にわたった高取焼研究調査の集大成である
著者略歴
尾﨑 直人
オザキ・ナオト
昭和23年宮崎市生まれ。昭和54年九州大学大学院文学研究科修士課程(美学・美術史)修了。九州大学文学部助手を経て昭和58年より福岡市美術館勤務。平成21年定年ののち嘱託として勤務(平成25年3月退職)。平成23年九州大学文学部より学位(文学博士)授与
目次

論文編 204頁(参考図版228葉)
筑前高取焼の研究 —筑前焼から高取焼きへの変容と展開—
第一章 高取焼研究史と高取諸窯の活動
第二章 内ヶ磯窯をめぐる諸問題
第三章 筑前藩主・黒田忠之と高取焼の変容
第四章 高取茶入の編年
第五章 高取焼と江月宗玩
第六章 筑前焼から高取焼へ
あとがき
表・史料・高取焼年表
図版編 70頁(図版136葉と全作品の解説)
福岡市美術館所蔵の高取焼と唐津焼(作品総数58件)


筑前高取焼の研究

四六倍版判 上製/304頁
定価 4400円(本体4,000円)
ISBN 978-4-87415-874-6
C0072
2013年3月発行

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カテゴリー: 美術